IT業界の年収は?職種別の年収相場や求められる人材などを解説
IT業界は常に人手不足であり、優秀な人材は引く手数多の状態と言われています。
エンジニアやプログラマーは、IT業界に限らず様々な業界において必要とされて、近年ではスクールや教材が数多くあり、就職・転職のための知識やスキルを身につけられるチャンスは広がっています。
今回は、そもそもIT業界にはどのような仕事があるのか、年収の相場はどのくらいなのかなどを解説します。
また、IT人材のキャリアパスや年収アップの方法なども解説していますので、これからIT業界への就職・転職を検討している人は、ぜひ最後までご覧ください。
IT業界全体の年収相場は?
IT業界は、他の業界と比べると比較的年収の高い業界と言われています。
しかし、IT業界であればどんな職種でも年収が高いということではなく、経験や企業規模、職種などよって異なります。
ここでは、企業規模別、キャリア別の年収相場をご紹介します。
企業規模
IT業界と一口にいっても、その企業規模は様々あります。
「賃金構造基本統計調査」によると、IT企業の平均年齢はおおよそ38歳であり、規模ごとの平均年収は以下の通りです。
10〜99人の規模 | 1,129万円 |
100〜900人規模 | 1,100万円 |
1000人以上の規模 | 1,127万円 |
IT業界の収益は、システムなどの規模が大きければ大きいほど高いものとなります。
そのため、企業の規模に比例して必ず年収が高くなるというわけではないようです。
どれだけ少人数であったとしても、大きな案件を受注することができればそれだけ得られる収益は高く、従業員の報酬も高くなるのです。
キャリア別
「賃金構造基本統計調査」によると、役職や経験などによる年収の差は数百万円の規模になっています。
例えば、新人レベルの年収が437万円であるのに対し、チームリーダーなど責任のある役職に就くと平均年収は726万円です。
なお、中堅クラスであれば576万円ほどとなっています。
上記以外の役職や、関わるプロジェクトなどで年収の増減はあるため、1000万円を超えも珍しくありませんし、一方で、平均年収を下回ることもあり得ます。
職種別
ここまで、企業規模やキャリア別の平均年収をお伝えしてきました。
IT業界には様々な職種があり、年収は職種によって分かれます。
それぞれの職種がどのような仕事を行うのか、具体的な仕事内容などについては後ほど解説するため、ここでは平均年収がどれくらいかを簡単に解説します。
システムエンジニア・プログラマー
IT業界といえば、この仕事のイメージではないでしょうか。
2023年5月時点の平均年収は、システムエンジニアは525万円、プログラマ-は440万円となり、システムエンジニアの方が多少高い傾向にあります。
経験や実績などによっては平均よりもはるかに低い年収からスタートする企業や、将来性を見込み平均より高い年収で働ける場合もあります。
営業
IT業界でも、営業は欠かせない人材です。
平均年収は680万円ほどであり、企業によっては歩合制を導入しているところもあるようです。
また、他の業界の営業職よりも高い年収やインセンティブが用意されていることもあります。
WEBディレクター
WEBディレクターは、主にWEBサイトの制作を行う際にプロジェクトの指揮や管理を行う仕事です。
平均年収は790万円ほどと言われています。
ディレクターが扱う規模などによってディレクターとしての責任感や年収は変わりますので、様々な求人情報を詳しく見た上で応募する先を決めることが重要です。
WEBデザイナー
WEBデザイナーは、クライアントの依頼やニーズをもとにWEBサイトのデザインを行います。
近年の働き方改革などによってWEBデザイナーを目指す人が増えており、平均年収は411万円ほどとなります。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャーは平均年収が645万円ほどですが、参加するプロジェクトや経験により大きく前後します。
実作業よりもメンバーの指示・管理、予算策定など対応範疇が広いため、平均年収もその分高めとなっています。
時折、経営者的な判断力を求められることになるため、責任が重いぶん年収は1,000万円を超えることも珍しくありません。
ITコンサルタント
ITに関する相談を受けて的確なアドバイスをするのが、ITコンサルタントです。
平均年収は900〜1,000万円と比較的高い水準にありますが、それだけ結果を出すことが求められる仕事でもあります。
IT業界にはどんな職種がある?
IT業界には様々な職種があります。職種別に仕事内容をご紹介します。
システムエンジニア/プログラマー
システムエンジニア(SE)は、クライアントの要望に沿ってシステムを設計することが主な仕事です。
プログラマーと混同されますが、仕事内容は大きく異なります。
SEは、設計書作りから完成までの開発にくわえて、設計書通りに動くかどうかのテストまで担当することもあります。
「SE=プログラムの設計士」と考えるとイメージしやすいでしょう。
一方プログラマー(PG)は、SEが作った設計書を元にコードを書くのが主な仕事です。
SEとともに要件に沿ってシステムを開発していきます。
SEをはじめとしたプロジェクトメンバーとの連携が欠かせないため、プログラミング言語の知識だけでなく、コミュニケーションスキルも求められます。
SEやプログラマーは企業や案件によって年収が大きく異なります。
また、企業での経験を活かしてフリーランスとして活躍する人も多いのがこの職種の特徴です。
営業
IT業界の営業担当は、クライアントと開発者の架け橋となるポジションです。
自社で開発したシステムやパッケージソフトを販売したり、顧客のニーズを汲み取ってSEに伝えたりするなど、重要な役割となります。
自社でどれだけ素晴らしい商品(システムやアプリなど)を開発したとしても、それを売ることができなければ収益になりません。
そのため、IT業界にも営業力が欠かせないのです。
また、開発請負やシステム・ソフトの販売の他、SEやプログラマーの技術力を売り込むケースもあります。
WEBディレクター
Webディレクターは、Webサイトの制作などを行う際に、プロジェクトの指揮管理を行う仕事です。
クライアントとのコミュニケーションを通じて、クライアントと現場間の認識をすり合わせ、スケジュールと品質を管理します。
また、知識やトレンドなどの理解と、クライアントの頭の中にある漠然としたものを具体化するスキルや、幅広い業務を円滑にこなす力が必要になるためハードな仕事と言えるかもしれません。
WEBデザイナー
Webディレクターから依頼された内容に沿ってWebサイトのデザインを行うこと、これがWebデザイナーの仕事です。
単純にデザインをするだけでなく、コーディングを含むこともあるため、デザインスキルだけでなくHTMLやCSSなどのコードを理解しておく必要があります。
また、制作や更新など幅広い業務を求められることがあるため、WEBデザイナーを志す人は身につけることの多さに驚くかもしれません。
プロジェクトマネージャー
プロジェクトマネージャー(PM)は、システム開発などのプロジェクトを統括する責任者を指します。
担当するプロジェクトをゴールまで計画的に進めるための企画や予算、工数の把握や、調整などを行うことで、現場をマネジメントするのが仕事です。
スケジュールや費用などに併せて、業者と現場間での交渉も担うため、責任重大の職種です。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、ITを苦手とする企業や担当者からの相談に対して、アドバイスをする仕事です。
取引先によってIT知識に差があるため言語化力と的確な助言が求められます。
ITコンサルタントに寄せられる相談はシンプルなものからハイレベルなものまで様々です。
抽象的な相談や質問も多く聞かれる可能性もあり、ITに関しての深い知識や最新の技術、相手の話からニーズを汲み取り、相手に寄り添った提案を行うことが求められます。
悩みや相談ごとから何が必要か、できることは何かを考えてスピーディに対応する必要があるため、SEやプログラマーと顧客を繋げることも重要な仕事です。
IT人材のキャリアパス
IT業界ではかつて、エンジニアは35歳が定年と言われていたことがあります。
それは、35歳になると体力や学習能力が低下するためであると考えられていたためです。
しかしながら、30歳からでも挑戦している人はたくさんいますし、成功している人もいます。
第一段階として、就職・転職が上手くいったあと、長期にわたって活躍するためには、IT人材のキャリアプランを理解しておくと良いでしょう。
スペシャリスト
スペシャリストは、特定分野の知識や技能を深めている人のことです。
IT業界では、「ITスペシャリスト」という資格もあり、6つの専門分野(システム管理/セキュリティ/データベース/アプリケーション共通基盤/ネットワーク/プラットフォーム)のどれかにおいて、知識やスキルがある一定のレベルに達している必要があります。
スペシャリストは、業界では「フルスタックエンジニア」とも呼ばれます。
システム構築やプロジェクトに必要な技術を提供し、成果を上げることができる存在であるというまさに「専門家」である一方、得意分野以外に対しては弱いという弱点があります。
スペシャリストを目指す人は、技術を深めることに関心がある人や「現場で頑張りたい」という人に向いています。
ジェネラリスト
ジェネラリストは、「広範囲にわたって知識や経験を持つ人」です。
プロジェクトなどの全体を見渡し、客観的な評価や臨機応変な対応ができることで、顧客のニーズ把握やプロジェクト・システムの統括をすることもあります。
PMやITコンサル、事業開発などオールマイティにこなすことが得意な人、マネジメントをしながらもスペシャリストとも専門的なコミュニケーションができる人は、ジェネラリストに向いていると言えるでしょう。
マネジメント
マネジメントは、PMやプロジェクトリーダーのような立ち位置です。
クライアントから受注したプロジェクトの企画・立案やリソース、リスク、ステークホルダーの管理など「マネージャー」としての業務を担当します。
上流工程の経験やマネジメント経験を積みたい人は、このキャリアパスを目指すことをオススメします。
IT人材として年収アップする方法
IT人材としてのキャリアパスを意識することは重要ですが、やはりIT業界に就職・転職した理由は年収の高さではないでしょうか。
では、IT人材として年収を上げるためにやるべきことやできることにはどのようなことがあるか、イメージできていますか?
スキルアップする
IT業界で年収を上げるいちばんの方法は、新しいスキルを身につけることや、すでに持っているスキルを高めることです。
新しい言語や流行している言語、世の中が求めているシステムなどに対してアンテナを張ってチェックするだけでなく、その仕組みの解明やオリジナリティを加えるとしたらどのようなことができるか…なども考えてみましょう。
ただし、闇雲にスキルアップをしても意味はありません。
ハード面・ソフト面を意識して総合力を求められることもあるため、それぞれのスキルをバランスよく身につけることが重要です。
資格取得
IT業界には、様々な資格があります。
国家資格
IT系の国家資格として有名なのは「ITパスポート」や「情報処理技術者試験」などです。
ITパスポートは、IT業界を目指すなら特に取っておきたい資格といえます。
専門的な資格は多数ありますが、どれも経験を重ねていくうちに受験するチャンスはあるので安心です。
ベンダー資格
ベンダー資格とは、ORACLEやCCNPなどのベンダーが自社製品についてのスキルを持っていることを証明する民間資格です。
国家資格ではないものの、相応の知識やスキルが求められるため、合格するにはある程度の学習量が必要です。
一方で、簡単に取得できない分、アドバンテージとして効果を発揮します。
資格保持者は、その試験に合格している(資格を持っている)ということは、その企業の製品について詳しいことの証明になります。
専門的にその企業の製品を扱う人は取得しておきましょう。
企業によっては資格手当制度を設けている所もあり、年収を上げる方法の一つとして資格取得は効果的です。
ご自分の興味・関心を深掘りして、取得を目指してみてはいかがでしょうか。
キャリアアップ(管理系職種など)
前述した通り、IT業界のキャリアには「スペシャリスト」「ジェネラリスト」「マネジメント」があります。
特に、マネジメントなどの管理系職種はエンジニアのキャリアアップとしては目指しやすいものです。
ただし、所属している組織に何年いても上位職種へのキャリアアップが見込めないようであれば、転職を検討することも考えるべきでしょう。
フリーランスになる
フリーランスは、企業に属さず「業務委託」などの契約で仕事をするスタイルです。
フリーランスは年々増加しており、会社員からフリーランスになることは特別なことではありません。
特にエンジニアはフリーランスになりやすく、実務経験があれば応募できる案件が多数あります。
最近では、会社員として働きながら副業を行い、少しずつフリーランスになっていくステップもあるようです。
フリーランスは、仕事を自分で取ってくる必要があります。
収入は頑張れば頑張るだけ得ることはできますが、それだけ管理すべきことが増えることを覚えてきましょう。
転職する
IT業界は、実力がある人は「能力・成果」を重視してくれる企業に転職すると、年収アップが期待できます。
IT人材にとって、転職はキャリアアップの大切な手段です。
自分のスキルや経験を武器に、やりたいことを探してみると良いでしょう。
なお、転職は自己分析から企業への応募、面接対策など、準備すべきことが山ほどあります。
自分一人で進めると、なかなかうまくいかなかった時に、転職を希望する理由すら見失ってしまうこともあるでしょう。
そのため、転職エージェントなどをうまく利用することが重要です。
目的や希望に合わせた計画を立てよう
今回は、IT業界の年収相場やキャリアパスなどについて解説しました。
これから就職・転職を検討する方やすでに就職・転職活動を行うにあたって、本記事の情報は確実に知っておきたいものばかりです。
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