IT業界未経験の女性がインフラエンジニアになるには
この記事では、女性インフラエンジニアとしての職業のメリットや、未経験からのキャリアアップの方法、そしてキャリアパスについて解説します。
ITエンジニアの人材不足が顕著となる中、インフラエンジニアの需要が急速に高まっています。
それに伴って企業における女性インフラエンジニアの採用率も年々上昇しており、年齢や国籍を問わないダイバーシティの推進により、さらなる増加が予想されています。
女性がインフラエンジニアになるメリット
インフラエンジニアは男性が多いイメージをお持ちの方も少なくないでしょう。
実は、近年、活躍がしやすいことや収入、スキルの面でのメリットから女性のインフラエンジニアも増えてきています。
ここでは、女性がインフラエンジニアになるメリットを5つ紹介します。
- 汎用的なスキルが身につく
- 評価の向上が収入増加につながりやすい
- キャリアの選択肢が広がる
- 年収が高く安定した収入を得られる
- 需要が高く将来性がある
汎用的なスキルが身につく
インフラエンジニアの業務には、システムやサーバー監視業務以外にも、クライアントへのヒアリングや要件定義、設計などのドキュメント作成など、下流工程から上流工程まで幅広い業務を担当します。
これらの工程を経験していくことで、汎用的なスキルを効率的に身につけることができます。
評価の向上が収入増加につながりやすい
国税庁「令和3年分 民間給与実態統計調査」によると、男女別の平均給与は、男性が545万円、女性が302万円です。
職業によって差はあるものの、240万程開きがあります。
一方、IT分野では、ベンチャー企業も多く、性別に関わらず、個人の実力によって収入を増やせる機会が多くあります。
中でもインフラエンジニアは実力に基づいた昇給が可能な職種です。
経験を重ね成果を上げることができれば、能力に基づいて評価され、性別問わず実績が収入に反映されやすい職業といえます。
キャリアの選択肢が広がる
現在、ITエンジニアの人材不足が深刻化していますが、この中でもインフラエンジニアは特にニーズが高いITエンジニアです。
人手不足が続いているIT業界では、スキルと経験を持つITエンジニアの需要は今後も増え続けると予想されます。
キャリア選択の際に特定の企業や業界にとらわれることなく、自身のスキルを最大限に活用する場を探すことが可能になります。
また、自分の興味や専門性により深くフォーカスすることで、特化型のインフラエンジニアとしての道も開けます。
汎用的なスキルを身に着けたあとに興味のある分野や得意な分野を磨くことで、より需要の高い人材を目指すことが可能です。
年収が高く安定した収入を得られる
クラウド化が進むにつれて、インフラエンジニアの需要も増加しています。
そのため、インフラエンジニアを採用するために平均給与を高く設定した求人も多くあります。
そして、一定の経験を積んだインフラエンジニアは、上流工程を任されることになります。
この段階になると、インフラの知識や技術だけでなく、マネジメント力やコミュニケーション能力も必要になります。
経験と知識によってIT人材としての付加価値が上がり、収入も相応に高まります。
需要が高く将来性がある
インフラ構築・運用の需要がなくなる可能性は低く、需要はさらに増え続けていきます。
日々新しい技術が生まれることや、企業のDX化の基盤としてなど、重要な役割を担うためです。
近年、AIによって代替可能な職業としてITエンジニアの名が挙がることがありますが、インフラエンジニアはAIを含めたIT技術やツールの基盤となるため代替される可能性も低く、将来性の面でも安心です。
このようにインフラエンジニアは、性別に関係なく活躍できるポジションです。
そのため女性でも安定して高収入を目指すことができ、経験を重ね成果を出すことで、キャリアの選択肢も幅広くなります。
インフラエンジニアの仕事内容
インフラエンジニアが担当する業務は、大きく分けると平常業務と緊急時業務の2つがあります。
平常業務ではインフラの運用保守として、稼働状況や品質管理を中心に対応します。
緊急時には、インフラ障害の対応をします。
緊急時は不正アクセスやウイルスによりインフラが脅威にさらされているなどの状況のため、迅速な原因の特定と解決が求められます。
ここではそれぞれの場合の、1日の業務の流れの事例を紹介します。
- 1日の業務の流れ(平常時)
- 1日の業務の流れ(緊急時)
1日の業務の流れ(平常時)
インフラエンジニアの、平常時における1日の業務の流れは次の通りです。
取引先や社内のメールチェックを行い、緊急対応が必要なものがないか確認をします。またチームのタスクの状況を確認し、困っている問題があれば相談をします。
インフラの稼働状況などドキュメント(報告書や日報など)をまとめ上司に報告します。
顧客からの問い合わせ内容の調査を実施。調査した結果を上司に確認してもらってから問い合わせ調査結果を送信します。
予定しているメンテナンスの作業手順書を作成します。1つ1つの手順について間違っていないかチェックを行いながら作成します。
完成したメンテナンス作業手順書を上司、先輩と確認し、間違っている点などがあれば修正を行います。
タスクの整理を行い、上司へタスクの進捗状態を報告し業務終了です。インフラエンジニアの平常時の業務は、インフラの運用保守にかかわるドキュメント作成やタスク対応が中心となります。
1日の業務の流れ(緊急時)
担当しているインフラで障害が発生した場合の、業務の流れは次の通りです。
顧客からのメールによりインフラ障害の至急の対応依頼あり。まずは上司へ報告します。予定していた平常時のタスクを、緊急度が低いものはすべてキャンセルし、チーム一丸をなって障害解決を行います。午前中に解決できない場合は、ランチタイムは後回しになる場合もあります。
障害対応に必要な部材の準備と並行してテスト環境上で障害の解決ができるか確認します。
障害解決できることが確認できたら緊急対応の実施を行います。上司とペアを組んだりチームメンバーと一緒に対応したりして、1つひとつ確認しながら慎重に作業を進めて行きます。
顧客へ障害解決の報告を行い、社内で障害の原因や経緯などをまとめたドキュメントを作成し今回の事象を整理していきます。
予定しているメンテナンスの作業手順書を作成します。1つ1つの手順について間違っていないかチェックを行いながら作成します。
明日以降のタスクの再整理を行い、上司へタスクの進捗状況を報告し業務終了です。
インフラ障害が発生すると、顧客のビジネスへ大きく影響するため、早期解決がなにより優先されます。
影響の大きさからも、障害が発生した際には残業が必要になることもあります。
女性インフラエンジニアが夜勤をする上での注意点
インフラエンジニアは、サーバーやハブ、ネットワークに障害が発生した時、時間に関わらず随時、障害対応を要求されます。
企業によっては夜勤が必要とされる場合もあり、その結果、人によっては生活リズムが乱れてしまうこともあります。
インフラエンジニアとして、平常勤務と緊急時の勤務では業務の内や体力的な負荷は大幅に変わります。
企業によって、夜勤は性別に関わらず避けられないことケースもあります。
緊急時の業務や夜勤による生活リズムの乱れを考慮に入れ、体調を保つためにも不規則な生活に対応可能な体力を維持すること、睡眠はしっかり確保することが重要です。
インフラエンジニアに向いている方とは
未経験でインフラエンジニアに挑戦する場合、資格取得や関連する経験の有無のほかに、その人自身の考え方や能力が重要になってきます。
ここからは、未経験からインフラエンジニアを目指す際のポイントやインフラエンジニアに向いている人の特徴を紹介します。
- 論理的思考能力がある
- コミュニケーション能力がある
- チャレンジ精神がある
論理的思考能力がある
インフラエンジニアの業務は、インフラの設計や構築、保守運用を含み、これらの業務は全て論理的な思考を必要とします。
例えば、効率的なインフラ設計を行うためには論理的思考力が必要です。
論理的思考力は業務を通じて一定のレベルまで向上しますが、元々論理的に考える傾向がある方はインフラエンジニアに適しています。
現在対応している業務をどのように論理的に捉え改善したかなどを伝えることで企業に対してアピールポイントになります。
コミュニケーション能力がある
インフラエンジニアは、顧客だけではなく、プログラマーや他のエンジニアとも協力して仕事を進めていきます。
業務を円滑に進めるには、適切なコミュニケーションを取りながら認識の齟齬を減らすことが重要です。
そのため、高いコミュニケーション能力を有し、周囲の人々と協調できるはインフラエンジニアに適しています。
業務において、違う意見をとりまとめた経験や、顧客から言われたことと社内対応できる範囲との折衝経験があれば、具体的にどのように動いたのかをまとめ伝えましょう。
チャレンジ精神がある
エンジニア全般に言えることですが、チャレンジ精神を持った人材が評価されて採用されることが多くあります。
特にIT業界は、ツールや考え方、知識が日々アップデートされていく業界です。
様々なことに挑戦することで新しい技術や取り組みを生み出せるような人材はインフラエンジニアとしての活躍を見込まれる可能性があるため、新しい情報を積極的に取り入れてみましょう。
新しい情報を見つけたらインプットするだけではなく、対応している業務にどう活かせるのかを考え、実際に取り入れてみましょう。
想定どおりにいかなくても、実際に動いたことを伝えることでチャレンジ精神が伝わります。
インフラエンジニアは未経験でも採用をしているケースが多くあり、特に女性のインフラエンジニアは数が少ないことからも積極的に採用をしている企業も増えてきています。
未経験での挑戦の場合、企業はその人の意欲や考え方、姿勢を評価します。
業務で取り組んでいる内容や工夫した点を具体的に伝えられるようにしましょう。
インフラエンジニアになるのにおすすめの資格
未経験からインフラエンジニアを目指す方法について説明してきました。
ここからはインフラエンジニアなるための勉強方法や資格取得について紹介していきます。
- ITパスポート
- 基本情報技術者試験、応用情報技術者試験
- リスト
ITパスポート
ITパスポート試験は、2009年から始まった資格試験で、ITの基本的な知識を身につけていることの証明する資格です。
具体的には、AIやビックデータ、IoTなどの新しい技術に関する知識や、新たな手法に関する知識を業務で有効に活用できるようになります。
IT業界未経験者は、まずこの資格を取得しましょう。
合格率も50%前後で推移しているので、入門資格としても未経験者の方におすすめです。
基本情報技術者試験、応用情報技術者試験
基本情報技術者試験は、ITパスポート同様にIT未経験者におすすめの国家資格です。
ITパスポートよりも難易度が高く、高度な問題が出題されるため合格率は25%程度です。
取得できればエンジニアに必要な基礎スキルや知識を身についていることをアピールできます。
IT業界では認知度の高い資格のため、エンジニアを目指すのであれば取得しておきたい資格です。
基本情報技術者の上位資格の立ち位置として、応用情報技術者資格があります。
この資格は実務者レベルを想定しており、設計、開発、運用保守やプロジェクトの進行など内容の難易度も非常に高くなります。
実務的なIT技術についての内容のほかに、プロジェクトマネジメント、経営戦略、法務などについても出題されます。
ネットワークスペシャリスト
ネットワークスペシャリストは、ネットワーク分野のスペシャリストとして、業務の課題を発見・解決できる知識を身につけた証です。
目的に応じてネットワークの構築や運用保守を担当するネットワークエンジニアにとって、この資格を持っていることで、セキュリティが高く規模の大きいネットワークシステムを任せてもらえる場面が増える資格といえます。
合格率は12%前後と難易度は高いですが、こつこつと勉強をして取得を目指しましょう。
LPIC、LinuC
LPICとは、カナダのNPO法人Linux技術者認定機関である「LPI」が認定する世界最大規模のLinux技術者認定試験です。
この資格を取得することで、Linuxシステムの構築や運用保守、開発などができる知識を保有していることを証明できます。
日本では、オープンソースソフトウェアを導入する半数以上の企業がLinuxを利用している調査結果が出ているため、取得することで多くの企業にアピールすることができます。
また、Linuxの資格にはLinuCというものもあり、こちらは日本の認定機関である「LPI-Japan」による資格で、正式名称を「Linux技術者試験LinuC」と言います。
LPICは世界180か国・9言語で展開されているグローバルスタンダードの国際標準規格の資格ですが、LinuCは日本国内向けの資格です。
どちらも、未経験者の方におすすめの資格です。
CCNA
CCNAは、アメリカのネットワーク機器メーカ大手のCisco Systems社が認定するネットワークエンジニアの技能試験です。
基礎的なネットワークの知識のほか、同社の製品であるCiscoルーターやスイッチングハブに関する知識・技術力の証明となります。
同資格はネットワークエンジニアとして働くにあたって基礎知識も問われるため、自分自身のスキルチェックとして受けてみるのもおすすめです。
CCNAの資格有効期限は3年です。
資格を保持し続けるためには合格後3年以内に、同レベル、または上位のレベルの試験に合格する必要があります。
その分、企業に対して勉強熱心な姿勢をアピールできる資格ともいえます。
AWS認定、オラクルマスター
その他、未経験からインフラエンジニアを目指す方へおすすめの資格としてAWS認定やオラクルマスターが挙げられます。
AWSとはAmazon Web Serviceの略で、Amazon社が提供するクラウドサービスの総称です。
AWS認定を取得することで、クラウド化が急速に進んでいる現在の状況に合った知識を保有していることが証明できます。
オラクルマスターとは、「Oracle Database」の管理スキルを持っていることを証明できる資格です。
Oracle Databaseとはオラクル社が開発・販売しているデータベース管理システムで、多くの企業で使用されています。
資格は4段階に分かれており、「Bronze DBA」、「Silver DBA」、「Gold DBA」、「Platinum DBA」で構成されています。
各段階には資格受験の前提条件があり、Gold DBAを受験する際はSilver DBA取得済みであることなど、下位の資格から取得していく必要がある段階もあります。
基礎知識から順に身につけることができるため、着実に勉強をしたい方に向いている資格といえます。
これらのようにインフラエンジニアになるためにおすすめの資格は様々です。
ご自身のスキル確認の一環として資格に挑戦してみることをおすすめします。
また、未経験からインフラエンジニアを目指すのであれば、まずは比較的難易度の低いITパスポートの資格を目指してみるもの良い方法です。
異業種から女性インフラエンジニアへ
インフラエンジニアは、性別関わらず経験や成果が収入につながりやすい職業です。
異業種からインフラエンジニアでの転職を目指すのであれば、資格取得から始めてみませんか。
基礎知識からしっかり学べるテックハブへ一度ご相談ください。
テックハブでは、未経験者も安心して学べるCCNA、LPIC、LinuCのコースがあり、無料トライアルもご用意しています。
今後も需要増加が期待されるインフラエンジニアへの第一歩を一緒に歩み始めましょう。